歯を磨く目的は何ですか
ある時ふと私と患者さんと話しがかみ合わない事に気づきました。私達は磨き残しについて指導している。でも患者さんは磨いてる、とおっしゃる。そして疑問に思いはじめ「なぜ歯磨きをするんですか?」と質問する様になりました。
ほとんどの方が、歯磨きするのは当たり前だろ?と不思議そうに「え、子供の頃から親に磨くようにと言われたから」「食べたら汚れて虫歯になるから」などと答えてくれます。「では歯磨きで何を磨いてるんですか?」と更に質問。「食べカス?」「歯垢かな?」など、ほとんどの方が明確に答えれません。当然です。学校で教わらないからです。そして私達もそこに気付かずに磨き方ばかりお伝えし、患者さんはまたダメ出しされたとウンザリしたり。
では歯磨きは何のためにするのかお答えします。飲食(水やお茶以外)すると口の中のバクテリア(菌)が増殖し毒素を出すので虫歯や歯周病が進行しないよう歯磨きで菌を減らすのです。バクテリアの集合体を歯垢(プラーク)=バイオフィルムと呼びます。排水溝のヌメリと原理は同じ、毒素を出し悪臭を放ちます。歯にネバネバ付いている物で残念ながらほとんどの方がこのネバネバを取れていないのです。バクテリアの中でも怖いのが歯周病菌で、磨き残すと毒素が歯茎をただれさせて血流に乗り全身に巡って様々な疾患に発展します。なので歯磨きは全身を守る壮大な予防行為なんです。フロスや歯間ブラシでバクテリアを減らしていきましょう!
歯科衛生士 長友 真貴子